伊藤忠商事が夜20時以降の残業を禁止して、仕事が残った場合は次の日の朝6時から出社してこなすという、「朝残業」が効果が出ていると喜んでいるようです。

確かに、早朝に仕事をすれば身体がリフレッシュしてますし、朝の通勤ラッシュに巻き込まれないため、ムダなエネルギーを奪われないまま仕事に挑めますので個人の生産性は”少しは”上がることでしょう。

一方で、朝残業をすると子供を保育園に行かせる時間がなくなって困るという社員もいるそうです。全て丸く収まることは難しいようですね。

 

朝残業に切り替わった時に、社員の声がニュースに載っていました。それによると、

・いつもは上司がなかなかつかまらなくて困っていたけど、朝9時までは席にいるので声をかけることができるようになった

・早朝は電話がかかってこないので仕事に集中することができた

・仕事を終えても周りが帰らないので帰りづらかったけど、今は遅くとも20時にみんな帰るので定時で退社しやすくなった

このような回答をしていました。

 

実に前向きな喜びの声ですが、このコメントの中に伊藤忠商事が未だ抱える問題点が浮かび上がってきます。

まず、「上司がなかなかつかまらない」ということが問題点です。

上司が外出・会議などで自分の席にいない時に部下が上司に確認したいことが発生すると作業が止まってしまいます。

これは上司からすれば「そんなものは自分の判断で仕事を進めるのが一人前なんだよ」と思うところですが、

部下からすれば「もし間違った方向に進んだ場合怒られたらどうしよう」と考えてしまうものなのです。

実際、このようなケースで部下が勝手に仕事を進めて間違った場合、上司は「なんで一言言わなかったんだ!」と必ず言うでしょう。

なので、部下は確認が取れるまで待つことが多いのです。そして、その”待ち時間”が一日を長くさせ、果ては残業が発生する原因になるのです。

こういった上司が忙しい部署では、普段から連絡手段を確立させておくことが改善策になります。部下から上司へ連絡しやすい環境を整えることになりますが、前もって気配りできる上司が理想です。

 

もう一つの問題は、電話がかかってくることで仕事の集中が途切れてしまうというものです。

もちろん商社では商談は電話で行うことは当たり前のことでしょう。

しかし電話というものは、自分と相手の時間を拘束するツールです。

仮に相手方が不在であれば、電話をかけ直すという手間も発生します。

頭を使って書類を作っているような時に電話がかかってくると、中断していた仕事は頭から読み直さなければならなかったりして作業効率を悪くします。

結果、電話応対も残業が発生する原因となります。

 

電話に関する改善策は、メールなどで代替することが一番です。

それではかえって非効率では?とか、取引先に失礼では(仕事がなくなる)?とか考えたりすることでしょう。

電話よりメールのほうが効率がいいのは間違いないので、取引先に対して失礼かどうかを考えますと、

そもそも伊藤忠商事は20時以降は電話が鳴っても出なくて良くなった訳ですよね。

これまで20時以降に電話をしていた取引先が伊藤忠商事に電話をしても誰も出なくなった。

それでも取引先は文句を言ってこない訳です。まぁ伊藤忠商事が大企業という力関係もあることでしょう。

しかし、自社の(勝手な)都合で20時以降電話に出なくてもアリになったのなら、18時以降電話に出ないルールにしてもいいし、コミュニケーションツールを電話からメールに変えても取引先からそれほどクレームは出ないはずです。

ですので、通常の勤務時間帯も朝残業と同じ環境にすれば、もっと生産性が上がるはずです。

 

以上のように、細かな所を観察して改善していけば今以上更に労働時間は短縮でき、朝残業をしなくても夜20時までには退社することが十分可能です。

これまでは日本の大多数の企業とアドバイスをするコンサルタントの人たちが「社員個人の生産性」ばかりに注目がいってましたが、それ以外の要素を見直すと時短推進・残業削減が実現可能となります。