私のこれまでの職歴で一番長かったのがIT業界ですので、IT業界の残業代事情についてお話します。

 

20世紀(という言い方がおっさんですが)中に働いたソフトウェア開発会社では、

残業代を満額出してくれる会社もありました。

そこは厳密に言うと独立系ではなかったという理由もありましたが。

その会社でも、バブルがはじけ業績が悪くなるにつれ「20時以降の残業代は支払わない」というものに変わりました。

私は社労士ではないので、今このルールが通用するのか知りませんが、まぁ満額出なくなったのは時代がそうさせるものかと思いました。

その当時から既に残業時間100時間を超える月もありましたが、残業代がもらえないことよりも作業量が多く体力的に負担がかかっているほうがストレスでした。

 

そして時が経ち会社も移りで、独立系のIT企業に入りました。

入社当初は残業代をもらっていましたが、たまたまそのプロジェクトはさほど作業量が多くなかったのでほとんど残業代はもらっていませんでした。

その会社では、入社時に「昇給制度として、プログラマーは残業代を支払うが、システムエンジニア(以下SE)以上はみなし残業代を含む給与を支払う」と言われており、SE昇格試験に合格しSEになって以降は残業代が付かなくなりました。

 

その後別プロジェクトに異動となり、それなりに残業する必要が生じ月平均60時間くらいするようになったのですが、

残業時間の耐性ができてしまったので「この業界はこんなもんだ」と仕事に集中してました。

 

それからまた別プロジェクトに異動したのですが、そこはハンパなくタイトなスケジュールで

月平均100時間を軽く超える残業をするものでした。

ちょうどその頃会社から社員に対し通達が届きました。

今後我が社は裁量労働制を採用すると。

 

裁量労働制の詳しい話は専門家(弁護士・社労士)の先生にお任せするとして、その通達では

「フレックスのコアタイムを過ぎた時点で業務に支障がない場合、退社してもよい」

簡単に言うとこんな感じでした。

 

そのプロジェクトではコアタイムが午後3時でしたので、午後3時になれば帰ってもいいと。

一見、いい制度のように思えるのですが、客先常駐で働いていて、

まず午後3時に終わるような仕事ではないこと、

仮にその日午後3時に帰れたとしても、帰ったら翌日お客様に怒鳴られるのは必至で

とてもこの制度を活用できる現場ではありませんでした。

 

この裁量労働制の適用業務の中には

「情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう」

との一文があり、SEはシステム設計を行うのでまさに適用対象になるのです。

これを知った時、「だから会社は社員を早くSEにさせたがるのか!」と納得したものでした。

「名ばかり管理職」に近いものがあります。

 

このような理由により、会社は社員をさっさとSEにすると、どんなに残業をさせても残業代を支払わずに済みます。

当然この裁量労働制を採用するに至っては、労使双方の合意があることとされてますが、

労働者代表のいったい誰が合意したのか、「代表者出てこい!」と言いたくなります。

 

しかし、労使双方の合意のもとに裁量労働制が採用されれば、社員に100時間超えの残業をさせても

合法である以上、労基署からのお咎めがくることはないのです。

 

全てのIT企業がこの裁量労働制を採用している訳ではなく、

入社時に「うちは残業代を支払わないけど構わないね?」と宣言する会社もあり、

言わば”労使合意”が成立するので、入社してから「残業代を支払わないのは違法だ!」と叫んだところで

会社は聞く耳を持ちません。

(※この場合でも残業代未払い訴訟を起こせば勝ち目があるのか弁護士の人に聞いてみたいです)

 

私は残業について研究するようになり、IT業界に関しては残業時間を大幅に削減することは難しいと思っているので

(減らすことは可能ですが、IT業界の営業構造をドラスティックに変える必要があります)

IT業界を希望する若者は

ITの仕事が好きで多少の体力には自信がある、

ITのスキルを覚えて将来はフリーで働きたい・独立したい、

こういう業界なんだという覚悟がある、

という人以外は就職しないことをお勧めします。

特に、ライスワーク(食べるために働く)で考えている人は労使双方にとって良くありませんので辞めたほうがいいです。

 

ただ、全てのIT企業が長時間残業している訳ではなく、さほど残業をしない会社(というか、キツいプロジェクトを受注しない会社)もありますので、そういった会社を探すことができれば世間で言われているほど辛い思いはしなくて済むでしょう。